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●45億円ね、スパイダー君。目指せ8000年のロングランだぜー

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50ミリオンなり。
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25ミリオンなり。
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15〜20ミリオンなり。
制作費がブロードウェイ史上最高の$50ミリオン=約45億円と言われている『Spider-Man: Turn Off the Dark』(スパイダーマン:ターン・オフ・ザ・ダーク)が、またまたまたまた、2月25日に予定していた初日の延期を先週発表しました。

が、延期、と言っても、新しく設定した初日は未発表。「今年のトニー賞争いには参加出来ないのではないか」、つまりは、5月の頭までには”開かない”、”秋だろう”って噂が有力ではないかと思われます。

うーん。

この作品ね、リセッションの影響もあって、去年の夏「お金がない」って事でいったん進行が中断しました。で、すぐに、一応再開。でも昨年の12月の時点でもお稽古は行われておらず、話題になるのは制作費の話ばかり。どうなんでしょう。

どうなんでしょう、というのは、莫大な制作費のこと。これ、初日を延長したってことは、2/25から予定していた収入は入らない。しかし、おさえている劇場、スタッフやキャストへは支払いは必要なわけで、制作費はもっともっと嵩んで行きます。最終的に、いくらになるんでしょうか。

ていうか、最近、金かかり過ぎだよ、ブロードウェイ。ちょっと50ミリオンはやりすぎじゃないの?

このベラボウな制作費っていう考え方は、私のイメージだと、やっぱりディズニーやワーナーBなどの”後楯のある”プロデューサー達が持ち込んだ印象があります。

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『ライオンキング』画期的でした
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意志の大変強そうな女子です
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話を聞いてるのっ?、みたいな
スパイダーマンの制作費も当初25ミリオンって言われてたんですが、着々と跳ね上がり、2008年あたりで35ミリオンの噂、そっからまたジリジリじりじり上がって、今は新聞によっては52ミリオンで報道してます。

ちなみに、ここでいう制作費は、オープンするまでのお金であって、毎週かかるランニングコストは、また別の話。

スタッフは凄いです、ええ。

演出は『ライオンキング』のジュリー・テイモア。音楽はU2のボノとエッジ。セットはオペラで有名な『リトル・マーメイド』のジョージ・ツィーピン、衣裳は日本人三冠王(アカデミー、グラミー、カンヌ)是非トニーも獲って欲しい、我らが石岡瑛子(昔、NYでお仕事お手伝いしていた頃の話は今度書きますー!)、照明は『ライオンキング』、『南太平洋』のドナルド・ホルダー、音響は『ヤング・フランケンシュタイン』、シルク・ド・ソレイユの『ラブ』のジョナサン・ディーン、うっひゃぁー、デサイン料だけでいくらかかるんだ、って人達が大集合してますけれども、そんな人達が「ねぇ、聞いて、すごい事思いついたんだけど、画期的なんだ!」「オー!グレィトッ!」なーんちゃってビシビシとクリエイティブ光線を出しまくり、そうやってデザインされたセットや衣裳を作るのにお金がかかり、そしてそれを実際に動かしてみて、演出が頭でイメージした通りに、決められた時間の中で(上演時間は限りがあるので)舞台の上で実現させるのに、またスンゲェー金がかかるわけですわ。

ただでさえスペクタクルはお金がかかるのに、「演出のジュリー・テイモアはディズニーで甘やかされたから『アーティストはお金のことなんか考えないわ』といつも言っている」とのことで、湯水のごとくお金を使うそうでございます。

ま、『ライオンキング』はツアーやら上演権の売買(日本では劇団四季が買いましたが)やら、これまでに(まだロングランしているので)世界全体で$3.6ビリオン=36億ドル=約3240億円の売上げをあげたそうですから、強気なのはわかります。『ライオンキング』画期的だったしねー!

映画でも舞台でも、「実現可能か?」という事にチャレンジすると、新しい舞台の機構が発明されたり、新しい照明が発明されたり、アイデアが技術を進化させるのは世の常ですから、素晴らしい発想は素晴らしい。うまく作品にハマれば、ですけれどもね。(『ターザン』の時は、開演30分くらいは、デラガルダ・チーム担当のフライングが凄くて「おお!」と思ってたけど使い過ぎで、最後には「そろそろ飛ぶのか?」って感じでした(笑))
キャストで発表されているのは、グリーン・ゴブリンに『キャバレー』のMC役(さいっこう♥だった)でトニー賞を受賞した映画でもおなじみのアラン・カミング。ヒロイン役はマリリン・マンソンの19歳年下の彼女でもあるエバン・レイチェル・ウッド。この二人は早めに名前出ましたが、他はなんか長いこと、有名人も、アマチュアも受けれるオープンコールのオーディションやってました。

で、決まった主役はリーブ・カーニー。数千人のオーディション合格したのは子役出身のアマチュア・バンドのボーカルです。

そういや『ターザン』の主役は大人気TV番組アメリカン・アイドル出身のジョシュ君でしたね。アメリカは実力あればチャンスがあるっていうのは本当です。そうとう実力は必要だけれど、層が厚いから。

アメ・アイ出身のターザン君は、なんか、うちのアパートの玄関でビールかなんか抱えて、ビービーとインターホン押してるから、「お、ターザンじゃん」と思ってたら、翌朝、相手役のジェーンと二人で階段降りて来たから、「ふーん、やっぱブロードウェイでも主役と相手役は付き合ったりすんだー」なんて思ったもんでした。関係ないけど(笑)。ジェーン、まだ住んでるのかなぁ、たまにお風呂場のダクトを通して、あきらかに発声練習でスーパー美声が聴こえてくるから、いるのかしら。でも、ハモってないから別れたとか(笑)。ま、うちは劇場街に近いので色々住んでるらしいからわかりませんが。

で、スパイダーマン(笑)。

そう。お金がかけすぎ、って話。

いや、でも、もちろん、スパイダーマンとかそういうスペクタクルものは、ちゃっちいと「じゃ、やるなよ」って事になるし、仕掛けも大変なことになるだろうから、お金はかけた方がいい。

実際、42丁目にあるヒルトン劇場は、「劇場内をスパイダーマンが飛び回る」ために、”セットを組む”どころじゃなくて”改装工事”になってますからね(笑)。それだけで、だいたい10ミリオン(約9億円)らしいですけれど。

でも当然、それだけ”仕掛け”を作ったら、裏方さん達も沢山必要なわけで、”舞台の裏方さん”だけ、つまり照明さんとか衣装さんとか除いてね、演出部+大道具さんが少なくとも40人必要とか、、、、、、で、なんだかんだ、他のスタッフ、キャスト、いーろいろ足して、1週間の公演を上演するための費用が1ミリオン。やっほー!9200万円くらい。制作費が45億で、毎週9200万のランニングコストを、ブロードウェイ・プロダクションだけで収支取ろうとと思ったら、だいたい8000年くらい公演が続けば黒字になるそうです(笑)。わははははははははー。8000年!ロングランしすぎ(笑)。CD売って、物販売っても限界あるし、世界ツアー回すって言っても、劇場改装費とランニングコスト高すぎて、劇団四季でも買えないでしょうよ。買えるのかな(笑)。
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ボノでーす。お金かかりまーす!イエーイ!
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アラン・カミング。『キャバレー』MCは最高でした!
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マリリン・マンソンの恋人としても有名なエバン・レイチェル・ウッド。
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Open Apr. 30 06のClose Jul 23 06。97公演で終了の『Hot Feet』。謎だったなぁ。不愉快越えて大爆笑さ。
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Open Apr. 05 07のClose Jun. 17 07。85公演で終了の『The Pirate Queen』。こちらもチョッ早でクローズでした。実際眠かったし。
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Open Nov 08 07のClose Jan.04 09。485公演は踏ん張った『ヤング・フランケンシュタイン』。実際そこまで酷くはなかった。凄くもなかったけど。
でもって、この作品、劇場もなーんかイメージ悪い劇場なんですよね。

ヒルトン劇場は1998年に開いた割と新しい劇場だけれど、何本も”鳴り物入り”の豪華スタッフ作品を上演しているのに、そのテの作品は一本もリクープしてない=つまり収支が取れてない。『42nd Street』は4年やりましたが、再演だし、スペクタクルじゃないから、そこまでコストかかってないはずだしリクープしていると思いますけれど、いわゆる鳴り物入りじゃないですからね。

こけら落としの『ラグタイム』は2年で赤字で終わり、アース・ウィンド・アンド・ファイアのジュークボックス・ミュージカル『ホット・フィート』はモーリス・ホワイトが音楽を担当したのに、もーう、ゲイの友達と大爆笑してある意味大ファンになったくらいヒドくてコケた(本当に酷かった)、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』のアラン&クロードの第三弾『パイレート・クイーン』もコケた、『プロデューサーズ』のメル・ブルックスとスーザン・ストローマンが大騒ぎして再集結した『ヤング・フランケンシュタイン』もダメで、ここ1年くらい使われてない。

なんだかね。

いやね、おもしろければ、それでいいです。面白ければいいんです。

ほんとに。

良い舞台が観たいだけなんです。

でも、名前先行、マーケティング先行の舞台は、お金がかかりすぎる割に良いものがなさすぎて、もう、そんなんばっかり何年も続いていて、「映画原作もの」「有名人クリエーター集結もの」に辟易しているですわ。映画原作ものでもビリー・エリオットみたいなバレエの舞台の話なんかは、当然ミュージカル向きだけれどもね、でもスパイダーマンは、どうなんだ実際?映画でいいんじゃないの?バットマンも演るって噂あったけど、それも映画でいいんじゃないの?

名前や権利に高額なお金を払ったメガ・ミュージカルで成功したものは、近年、思い当たりません。

キャストだってスタッフだって、やっぱり「良い仕事して、お客さんを楽しませた」、大評判になって「この作品に関われて良かった」っていうのが一番幸せになる瞬間です。

「お金をかけなくたって良い作品が出来る」なんて、あったり前のことを言うつもりではないですよ、もう大人だし(笑)。っていうより、お金ばっかが先行して話題になるのではなく、もう少し、「そんなにお金かかってたんだ!そっかー、そりゃそうだよなー、すっっっげー面白かったもの!」と素直に観れる作品が出てきて欲しいのです。

マーケティングの化け物は、もう、どうでもいい。頼むから、金かけるのなら、まともな作品創ってくれ。名前ある人を集めるのにだけ金がかかったような作品はやめてくれ。日本もそうだけど、もうちょっとオリジナルものも創りましょうよ。

とか言って、制作費50ミリオンの舞台は、オリジナルものじゃなくても演出したいけどー(笑)。



追記♥5月の『黒執事』の脚本は完全オリジナル舞台版です♥