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●NINE

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2003年ブロードウェイ再演のプレイビル。アントニオ・バンデラス主演。チタ・リベラほか。
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2009年公開(日本2010年)映画。主演ダニエル・デイ・ルイス。ソフィア・ローレン、ジュディ・ディンチ、ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、さらにファギー!
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原作フェリーニの映画『8 1/2』ポスター。マルチェロ・マストロヤンニ、クラウディア・カルディナーレ、アヌーク・エーメ!
『NINE』
(ナイン)
ミュージカル
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ブロードウェイ初演:
プレビュー:Apr 22nd, 1982
オープニング:May 9th, 1982
クロージング:Feb 4th, 1984

ブロードウェイ再演:
プレビュー:Mar. 21st, 2003
オープニング:Apr. 10th, 2003
クロージング:Dec. 14th, 2003

(ロンドンでも1992年と1996年に上演されています。96年はブロードウェイ再演のデビッド・ルヴォーによる演出。デヴィットは日本でも2回日本人キャストで『ナイン』を上演しました。G2演出による日本人キャスト公演も2009年12月に上演)

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「女にモテモテなイタリア巨匠映画監督が映画が撮れなくなり『ストーリーが思いつかないんだ、どうすればいいんだ、ママ!』」ってな感じの心の葛藤を描くという、まったくもってミュージカル向きじゃない話を、よくもまあミュージカルにしたもんだという、とぉーーーっても素晴らしい作品。

アメリカでは昨年2009年末から、日本では2010年3月にミュージカル映画『NINE』として公開されます。これはミュージカルの舞台の映画化ですが、もともとはイタリアの巨匠フェリーニの映画『8 1/2』(八か二分の一/はっかにぶんのいち)をミュージカルにして舞台化したものですので、映画→ ミュージカル舞台→ミュージカル映画という道を歩んだ作品です。『HAIR SPRAY』と同じパターンですね。

映画監督のグイード・コンティーニは煮詰まって映画が撮れなくなって、脚本も一行も書けていないのに撮影1週間前という状況で、リゾート地に奥さんと逃げちゃうんですけれども、愛人が「来ちゃった♥」ってな感じで追ってくるわ、プロデューサーも撮影隊も全部追ってくるわ、愛人だった人気女優もやってくるけれど脚本がないわ、撮影がはじまるわ、追いつめられて追いつめられて自分の女性遍歴のこと、映画のこと、子供のころのこと、母親のことが交錯して、、、という話で、映画監督グイード・コンティーニ以外は全員女性キャストです。

舞台版と映画版はストーリーやキャラクター設定が違いますが、基本的には同じ。

しかし、フェリーニもほんと、これ絶対自分の話だろうに、それで一本撮るって、よっぽど本当に煮詰まったんだろうなぁ。凄い人だ。撮っちゃうんだから。

ブロードウェイの初演は1982年。4月から19回のプレビュー公演の後、729回で1984年の2月にクローズ。演出は『Grand Hotel』『Stepping Out』『Me One And Only』などのTommy Tune。作詞/作曲は『Grand Hotel』『Titanic』なども手がけたMaury Yeston。音楽、素晴らしいです。

ブロードウェイで私が観たのは、友人でもあるイギリス人演出家David Leveaux(デビッド・ルヴォー)のリバイバルの方で、こちらは当初三ヶ月限定公演だったのですが、好評につき延長に延長を重ね、2003年の3月からプレビュー23回、4月にオープンして283回の公演で12月に幕を閉じました。

主演アントニオ・バンデラス!そして伝説のチタ・リベラ!アントニオとチタのタンゴのシーンは、もう、ええ、鳥肌でしたっっっ。3回観に行きましたねー、こればっかりは。チタが観たくて。Carlaを演じた Jane KrakowskiとLuisaを演じたMary Stuart Mastersonも素晴らしかった。

映画の方では、グイードがダニエル・デイ・ルイス(カッチョ良かった)を中心に、ソフィア・ローレン、ジュディ・ディンチ、ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、ケイト・ハドソン、そしてBlack Eyed Peaのファギー姐さんまで出ているのだから、豪華豪華。

歌と踊りという要素が入って来るミュージカルでは、ストーリーをシンプルにわかりやすくして、複雑な人間の感情や関係を省略するものが多いですけれど、私は、ただ楽しいだけではなく、大人が心に響く毒があるミュージカルが好きなので、この作品は初めて観たとき「ああ、これやっていいんだ!こういう風に出来るんだ!」と軽く衝撃を覚えました。

やはり大好きな『キャバレー』『シカゴ』も大人の毒を盛った作品ですが、こちらは「古き良き時代」という要素、All That Jazzなタバコの煙、ギャングと禁酒法みたいな空気の話なので、大人っぽくしやすい。戦争や殺人という設定も強い。

けれど『NINE』は、そういう外側からの要素ではなく、「ダメになりかけている1人の大人の心の内側の闘い」の話なわけで、これをミュージカルにして仕上げるというのは、とても面白い。

いつか演出したいけれど、これは日本人キャストではなくて、女が好きで、女にもてて、ママに影響を受けていて、大人になっても死んでしまった母親に向かって心で「ママ!」と話しかけるマザコン・イタリア男を演じれるドンファンな白人がグイード・コンティーニを演らないと、ストーリーが生ききらないかなぁ。

映画、是非、観て下さい。イタリア、美しい。